お知らせ

2020年何が起きるのか ― 中国製薬業界について

2020.01.08

あけましておめでとうございます。

2019年は、中国製薬メーカーにとって岐路に立つ重要な1年でした。当社からもいろいろと情報発信をしておりましたが、2020年はさらに改革があるかと思われます。随時発信していきたいと思いますので、本年もよろしくお願いします。

それでは、中国製薬業界についての2020年の最初の情報を2019年の情報を振り返りつつ、発信していきたいと思います。

2019年、中国版品質再評価(2019.11.01のお知らせ)に注力している中、国主導による2回の量的購買(2019.10.18のお知らせ)が行われ、大多数の医薬品の落札価格が目からウロコが落ちる思いほど下げられた。この他には、主に新薬を中心として医療保障局による価格交渉、新「医薬品管理法」の公布に伴うMAH制度の実施、承認審査に係る薬事制度の改革など大きな変化が起きた年でした。

2020年は、2019年の政策を踏襲しつつ、更なる改革を行われる。具体的には以下の政策が注目される。

  1. 中国全土で量的購買の実施
  2. 主要な医薬品に対するモニタリングシステムの確立
  3. 30都市のDRG(Diagnosis Related Groups)に基づく支払い制度※1の試行
  4. 2019年版の「医療保険償還リスト」の実施

 

2019年11月29日に発表された医療制度改革をさらに推進する政策(2019.12.11のお知らせ)から分かるように医薬品の量的購買はさらに拡大・推進されてくる。2019年12月29日「全国医薬品の量的購買に関する通知」※2が公開され、量的購買が国主導だけではなく、中国全土の省においても実施されていることが分かり、急速な広がりをみせている。

量的購買は、入札に参加するための前提条件として、品質再評価に適合しなければならないため、ジェネリック企業は膨大な費用(最大1品目約3億円※3)を投入している。このように費用をかけ、品質再評価に適合させたとしても、量的購買は、落札価格の大幅ダウンへと追いやられている(2019.10.18のお知らせ)。

また、国務院の通知(2019年11月6日発)※4で2020年12月末までに主要な医薬品に対するモニタリングシステムを確立するようと下級政府や関連機関に指示している。そのリストの大半は品質再評価対象外の中国発の漢方注射剤である。

さらに、国家医療保障局がDRGに基づく支払い制度のパイロット試行通知を発出した(2019年10月16日発、〔医保弁発﹝2019﹞36号〕) ※5。これによってDRGに基づく払いにより、処方薬が制限され、不必要な検査、低コストパフォーマンスの医薬品が制限され、薬物療法のレベルが大幅に改善されてくると予想される。

量的購買を突破口とする医療改革により、中国の製薬業界は新たな転換期を迎えている。従来型の利益モデル(営業活動による販売)は終わり、コストと技術主導の国際的な基準へと変化が起きるものと思われる。この変化は、大企業を中心として、中小の製薬企業にも、補完的な生産体系、規模とコストに基づいて低い利益率とする新しい時代へと変化していくものと考えられる。

しかし、全体から見ると、中国医薬品市場の規模は右肩上がりで、2017年約477兆216億円(29,826億元)に上った。またこの10年間、中国製薬産業の成長率はGDP成長率よりもはるかに高く、2019年1月から10月にかけて、中国の製薬業界の収益成長率は9.2%に達し、国内GDPの6.1%より高い※6。 中国の医薬品市場規模の大きさ、高齢化の加速、健康意識の高まりを背景に、中国製薬メーカーはもちろん、多くの外資の製薬会社も中国市場を重要視し、戦略的に進出を図ってくる動向が見られるだろう。

 

※1 日本の包括医療費支払い制度(DPC)と相当

※2 出所:上海量的購買管理事務所のウェブサイト、2019/12/29

※3 出所:医薬魔法の統計データ(2018年1月2日から2019年10月23日の65品種の品質再評価支出費用)。

※4 出所:中央人民政府ウェブサイト、2019/11/18

※5 出所:国家医療保障局ウェブサイト、2019/10/24

※6 出所:中国国家統計局