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中国医薬品知財情報(2):医薬品のパテントリンケージ制度の導入開始

中国薬事

2021.08.23

異議申し立て、待機期間

特許権者等はジェネリック医薬品の申請者が提出した第4類声明に異議がある場合、CDEがジェネリック医薬品の申請がされたことを公示した日から45日以内に人民法院または特許行政部門に訴え、申請されたジェネリック医薬品に使用された技術内容が新薬の特許クレームの範囲に入るか否かの判断を求めることができる(実施規則、第7条)。

また特許権者等はその訴えが受理された日から15日以内にCDEとジェネリック医薬品の申請者に受理通知書の副本をもって通知する必要がある(実施規則、第7条)。その場合、NMPAはジェネリック医薬品の申請に対して9ヶ月の待機期間を設定し、その間、そのジェネリック医薬品に対して承認を付与しない。ただしその間、技術審査は継続される。 待機期間は訴えの受理日から起算し、1回のみ設定される(実施規則、第8条)。

待機期間中に判決/裁定が下りた場合、特許権者側は当該結果を10日以内にCDEに通知する必要がある。CDEはその内容により、ジェネリック医薬品の申請に対して、新薬特許の存続期間満了まで待って承認手続きを行うか、新薬特許の存続期間満了を待たずに承認手続きを行うか、何れかの処理を行う(実施規則、第9条と第10条)。

 

この待機期間について、米国では2年半と設定されているのに対して、中国は9ヶ月と短いとの意見がある。「実施規則」や「司法解釈」でジェネリック医薬品の申請の際には、第4類の特許声明を出すとともに、その根拠となる資料の提示を必要としている。その根拠としては、特許のクレームチャート(Claim Chart)のような対比表であり、判断を行う側(人民法院や特許行政部門)にとって、その判断を下すことが可能であると思われる期間として9ヶ月を設定されている。つまり、先発薬メーカーからみると、ジェネリック医薬品の承認をストップさせられる期間は9ヶ月間しかないという状況である。

 

特許チャレンジ、市場独占期間

特許チャレンジに成功し、且つ最初にNMPAに承認されたジェネリック医薬品は1年間の市場独占期間が与えられる(実施規則、第11条)。

ジェネリック医薬品の申請者が第4類声明を提出し、新薬特許の無効審判を請求し、その結果が無効と判断されれば、NMPAはジェネリック医薬品を承認して、特許チャレンジは成功となる(第11条)。特許チャレンジが成功したジェネリック医薬品には市場独占期間が与えられ、2番目以降のジェネリック医薬品は承認が与えられない。この市場独占期間は、最長1年間であり、かつ新薬特許の有効期間を越えて付与はされない。

ジェネリック医薬品に与えられる市場独占権について、米国の180日間に対して、中国はそれより長く1年間を設けている。米国のように先発薬の結晶形特許(「実施規則」で届出する特許の種類は有効成分に関する物質、製剤、用途と規定(第5条)、結晶形特許は対象外としている)やステートメントVIII(ANDAの添付文書に特許有効期間内にある適応症を削除する)などチャレンジできるポイントが中国では明確になっておらず、しかもジェネリック医薬品の申請基準(先発薬と有効成分、剤形、規格、適応症、投与経路及び投与量が同一であること)をクリアしつつ、特許チャレンジを成功させるには、ジェネリック医薬品メーカーにとっては極めてハードルが高いといわれている。

 

その他

「実施規則」では、バイオ医薬品と中薬(中国の伝統薬)についての待機期間が設定されていない。バイオ医薬と中薬のジェネリック医薬品の申請は、技術審査の要件が満たしていれば承認される。ただし、ジェネリック医薬品の申請が関連特許権の範囲に含まれていると人民法院や特許行政部門が判断した場合、特許権の満了後にしか承認されない(第13条)。

ジェネリック医薬品(化学医薬品、バイオ医薬品、中薬)が承認された後に特許権者等が当該ジェネリック薬は特許権を侵害していると判断した場合、『特許法』等に従い、特許侵害訴訟の提起等によって紛争を解決することになる。その場合においても、ジェネリック医薬品の承認は取り消さないものとしている(第14条)。

 

 

上記の内容から分かるように、中国の医薬品のパテントリンケージ制度が明確になり、導入の段階に入っている。先発薬メーカーとジェネリック医薬品メーカーの間である程度のバランスを取られており、進歩が見られるものの、不明確な点がまだ多く残っている。例えば、ジェネリック医薬品メーカーが人民法院へ訴訟を起こす又は特許行政部門へ裁定を求める場合の期限は設定されていない。人民法院への訴訟が受理されたら、特許行政部門への裁定は中止すべきかどうかなど。また、特許チャレンジにおいて、ANDAの添付文書に特許有効期間内にある適応症を削除して対応することが許容されるのかといった疑問点なども残されている。

 

日本の医薬品企業の先発薬メーカーは中国特許情報登録プラットフォーム(ウェブサイト:https://zldj.cde.org.cn/home)へ自社の医薬品特許に関する情報の届出が必須でかつ迅速に行わなければならないであろう。そして、受け取ったジェネリック医薬品の特許声明や異議を検証し、その対応など特許に関連した業務が必須となる。一方、後発メーカーは、これから中国へ承認申請する際、特許の対応(特許声明など)も事前に準備しておく必要がある。

 

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