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中国のGVPについて:(3)第5章~第6章~リスク識別と評価、医薬品リスク管理~

中国薬事

2021.08.04

「ファーマコビジランスの管理基準」(GVP、以下GVPと略す)の第5章では、シグナルの検出とリスク評価の要領を提示し、安全性定期報告(PSUR)と定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)の技術要件を規定した。また、市販後の安全性調査の範囲、開始状況および被験者保護を標準化した。

 

シグナル検出とリスク評価

リスクの識別はファーマコビジランス(PV、以下PVと略す)の重要な要素であり、現行の中国GVP規制の弱点でもある。本GVPはMAHのリスク識別能力を向上させるために、CIOMSの技術要件とEUの経験に基づきシグナル検出の概念を提唱し、シグナル検出の頻度、方法及び関連する要件を規定した。

シグナル検出の頻度は、医薬品の上市時期、医薬品の特性、リスク特性などの関連要因に応じて合理的に決定されなければならない。革新的な医薬品、改良型新薬およびその他指定された医薬品については、シグナル検出の頻度を増やす必要がある(第57条)。

MAHは、医薬品の新しい安全性リスクを迅速に評価・影響要因を分析し、リスク特性の説明及びリスクの種類を決定し、リスク管理措置が必要かどうかを評価する必要がある。その評価において、医薬品のベネフィットとリスクのバランスを考慮する必要がある(第62条)。

 

市販後医薬品の安全性研究

『中国医薬品管理法』では、MAHが市販後の医薬品の安全性研究を実施することを規定した。本GVPは、法に従い、MAHが市販後の医薬品安全性調査を実施するための新しい要領を提示し、その調査の範囲、種類、開始時期、目的および方法などを明確にした。ただし、要件は原則として規定されているため、より詳細な技術ガイドラインの発出が必要となる。

市販後医薬品の安全性研究は、医薬品安全性リスクの特定、定性的または定量的説明、医薬品安全性特性の調査およびリスク管理措置の実施効果の評価を目的とした市販後調査である(第69条)。MAHは倫理および対象者保護の関連する法律、規制および要件を遵守し、対象者の権利と利益を確保するものとする(第73条)。MAHは、医薬品の市販後安全性研究のためのプロトコールを書面で策定するものとしている。 プロトコールは適切な学歴と実務経験を持つ担当者が作成し、PV担当者がレビューまたは承認する必要がある(第75条)。医薬品規制当局が要求する医薬品の市販後の安全性研究は、医薬品規制当局の要件に従ってプロトコールと報告書を提出しなければならない(第76条)。

 

PSURとPBRER

ICHガイドラインによれば、上市前の「治験安全性最新報告(DSUR)」(ICH E2F)、市販後の「安全性定期報告(PSUR)」(ICH E2C-R1)または「定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)」(ICH E2C-R2)を提出する必要がある。2020年7月NMPAは、ICH E2FとE2C-R2の適用に関する通知を発出した。本GVPはその通知を踏まえた上、その2つのICHガイドラインに準拠するための要件を規定した。つまり、医薬品の承認後、安全性定期報告(PSUR)或いは定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)の提出を義務付けた。

革新的医薬品および改良型新薬は、承認の取得日から最初の再登録まで1年ごと、その後は5年ごとにPSURを提出し、他のカテゴリーの医薬品は、通常承認を取得した日から5年ごとに報告する(第80条)。 PSURはPV担当者によってレビューした後に国家副作用モニタリングシステムを通じて提出する(第82条)。MAHは、PSURの代わりにPBRERを提出することができる。書面の形式と提出要件は、ICHの関連ガイドラインに準拠するものとする(第84条)。そのほか、原薬、体外診断試薬、生薬や刻み生薬はPSURの提出が不要(第86条)と明確にした。

 

第6章 医薬品リスク管理においては、リスク管理措置の種類、選択方法および評価を明確にし、リスク伝達の方法を強調し、PV計画の策定と提出を標準化した。

 

リスク管理措置

MAHは、医薬品のリスク特性、医薬品の代替可能性、社会経済的要因を包括的に考慮し、適切なリスク管理措置を講じなければならない(第87条)。リスク管理措置は以下のように4つに分けている。

①日常的なリスク管理措置:医薬品の添付文書、ラベル、パッケージの改訂、医薬品のパッケージ仕様の変更および医薬品の管理ステータスの変更など。

②特別なリスク管理措置:医療スタッフと患者の間の伝達、医薬品使用の制限および患者登録など。

③緊急時の管理措置:医薬品の製造や販売の停止、製品のリコールなど。

④リスクがベネフィットを上回る場合:医薬品登録証明書の取り消しが必要。

(第87条)

 

リスク伝達

本GVPで、リスク伝達の必要性を強調し、リスク伝達の対象、原則、方法および内容を明確にし、EUおよび米国が提案した「医療スタッフへの連絡」と「患者の安全な医療のためのガイドライン」のような伝達方法を参考にし、中国の状況に基づいて新しい要件を提案していた。

伝達は、関連する法律および規制の要件に準拠するものとし、広告または製品のプロモーションコンテンツを含まないものとする。 一般的に、伝達の内容は、承認されている情報に基づいている必要がある(第94条)。

 

PV計画

『中国医薬品管理法』は、MAHが市販後の医薬品リスク管理計画(RMP)を策定する必要があると規定している。 本GVPでは、基本的にICHの説明に基づき、PV計画の作成、コンテンツ要件および提出要件を説明した。PV計画の記述仕様については、別途ガイドラインを策定する必要がある。2021年7月、CDEが「リスク分析と管理計画の作成ガイドライン」(草案)を公開し、意見募集している。

医薬品の市販後リスク管理計画の一部としてのPV計画は、市販後医薬品の安全性特性と医薬品の安全性リスクの管理方法を説明する文書である(第96条)。MAHは、リスク評価の結果に基づき、重要なリスクを有することが判明した上市医薬品のPV計画を策定・実施し、リスク認識の変化に応じて適時に更新しなければならない(第97条)。PV計画には、医薬品の安全性、PV活動の概要および実行すべきリスク管理措置と実施期間の説明が含まれる(第98条)。PV計画は、審査のためにMAHの医薬品安全委員会に報告されるものとする(第99条)。

 

次回は文書・記録・データの管理と臨床試験中のPVなどについてご紹介します。

 

 

参考:

1.「医薬品のファーマコビジランスの管理基準」の起草説明(NMPA第65号、2021年5月13日)

2.「医薬品のファーマコビジランスの管理基準」(NMPA第65号、2021年5月13日)

3.「研究開発中の安全性更新報告書の管理規則(試行)」の発出に関するCDEの通知(第7号、2020年7月1日)

4.「E2C(R2):定期的ベネフィット-リスク評価レポート(PBRER)」に関するICHガイドラインの適用に関するNMPAの通知(NMPA、2020年7月17日)

5.「リスク分析と管理計画の作成ガイドライン」(草案)に関する意見募集の通知(CDE、2021年7月23日)

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