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約4620億円の薬価交渉、中国保険償還リストが更新に

中国市場

2021.01.18

中国の医療保険、保険償還リストや薬価交渉等は、「中国の保険薬について」(全3回)にて紹介させて頂きました。今回はそれと関連する最新の情報です。

 

1.新しい保険償還リストが公布に

2020年12月28日、中国の保険償還リスト「国家基本医療保険、労働災害保険、出産保険医薬品目録(2020年)」(以下、「目録」と略す)が国家医療保障局から発出された。

2020年版の「目録」は、企業からの申請、専門家によるレビュー、標準計算、価格交渉などを踏まえて、医薬品の一般名で、1,426の化学薬品、1,374の中成薬(生薬の配合剤)、計2,800の医薬品の収載となった。そのほか、892の中薬(生薬及び単味薬材)が調整せずそのまま収載されている。

 

2.119品種が交渉決着に、PD-1 / L1に注目

2020年版「目録」に新たに収載された119品種はすべて薬価交渉による決着の結果であった。今回(5回目)の薬価交渉は2020年12月14日から16日の間、北京で行われた。162品種のうち、119品種(先発96品種、そのほか23品種)が交渉決着し(成功率は73.46%、2019年は59%)、価格の平均下落率は50.64%(2019年は60.7%、2018年は56.7%)であった。特に抗がん薬としてのPD-1 / L1が激しい競争にあり、注目の的になった。

 

① 国産品のシェアが急上昇

交渉決着された119品種のうち、中国国産は84品種(71%)、輸入医薬品は35品種(29%)であった。前4回の交渉決着では、国産の比率は今回ほど高くなかった。2019年では、交渉決着した70品種のうち、国産は34品種(49%)しかなかった。

 

② 新規収載のトップは抗がん薬

薬価交渉によって新収載された医薬品のうち、抗がん薬の数が最も多く、17品種に達した。続いて消化/代謝12品種、免疫抑制剤8品種、抗ウイルス薬6品種の順であった。抗がん剤に対して、2018年4月から実施されている輸入、審査、承認、臨床使用の一連のサポート政策が大きく関与しているとの分析があった。

 

③ エーザイのレンビマ、アステラスのイクスタジンが決着へ

今回、エーザイ(Eisai Europe Ltd.)のマルチキナーゼ阻害剤「レンビマ®」(レンバチニブメシル酸塩)、アステラス(Astellas Pharma Europe B.V.)のCRPC治療薬としてのイクスタンジ錠(エンザルタミド)が交渉決着された。期間は2021年3月1日から2022年12月31日まで指定されている。

企業別で、ノバルティスは交渉決着した品種数が2019年(新規収載7品種、更新2品種の計9品種)に引き続き最も多く、8つの新規品種及び新適応症、更新4品種(既存適応症)が収載された。「目録」外の新規交渉対象の96品種のうち、交渉決着した企業(2品種以上)は14社があり、外資企業(9社)は依然として多かった。しかし競争が最も激しいPD-1 / L1では,外資企業4社(メルク、BMS、アストラゼネカとロッシェは、グローバルな価格システムを維持するため)は決着せず、中国企業3社(ハンルイ、Junshi Biosciences、BeiGene)が平均価格78%ダウンで交渉決着された。

 

今回の薬価交渉は基本的に公平、透明性、厳格、機密保持を守っていると医療保障局が説明している。また主な責任者である熊先軍は交渉の主な目的は値下げではなく、より合理的な価格を追求していると述べた。

 

3.約4620億円(280億元)の調整額

今回の「目録」の調整は、全体としては“腾笼换鸟(籠の中の鳥を入れ替える)”と言われている。つまり、臨床的な有用性や費用対効果の低い29品種が「目録」から削除された。また既存14品種の価格を下げたほか(下落率43.46%)、760品種の支払いに制限を設けた。760品種のうち、302の化学薬品に適応症の条件を付けられ、210の中薬(生薬及び単味薬材)が外来診療所と指定医療保険薬局でのみ使用可能となった。特に40品種の中薬注射剤(中国では丹参などの生薬を主成分とする、あるいは複合方剤の注射剤は広く使用されている)は第2レベル以上の病院でのみ使用可能であり、一定額の医療保険が節約できたとしている。その結果、新たに収載された119品種にかかる約4620億円(280億元)の医療保険基金を確保できた。「目録」の内訳を調整することにより、臨床ニーズが満たされ、基本的にインとアウトのバランスをとれたと医療保障局が説明している。

 

4.「目録」の実施方針

2020年版の「目録」は2021年3月1日から正式に実施される。

「目録」の実施通達では、同じ一般名を持つ他のメーカーの薬(ジェネリック医薬品)が有効期限内に上市された場合、自動的に「目録」の範囲に含まれると規定している。そして「目録」内に「*」が付いている場合(主に交渉決着された品種を指す)、すべての地域の医療保険等部門は、公文書、ニュース、宣伝などで医療保険支払基準を公表してはならないと秘密保持を徹底している。また協定期間中(2020年1月1日~2021年12月31日或いは2021年3月1日~2022年12月31日)の交渉薬は、全国統一医療保険支払基準で償還されるという。

そのほか、すべての地域に対して、「目録」を厳格に実施することを求め、独自の「目録」を作成したり、追加したり、支払い範囲を調整したりしてはならないと通達され、医薬品の支払い管理を強化された。

 

※:

1回目:中国の保険薬について:(1)公的医療保険制度及び抱える課題

2回目:中国の保険薬について:(2)中国保険償還リストの更新と薬価交渉

3回目:中国の保険薬について:(3)保険薬の収載規則が確定

 

参考:

1.「『国家基本医療保険、労働災害保険、出産保険医薬品目録(2020年)』の発出に関する通知」(国家医療保険局人的資源社会保障部2020年第53号、2020年12月28日)

2.「『国家基本医療保険、労働災害保険、出産保険医薬品目録(2020年)』の発出に関する通知」の政策説明(国家医療保険局人的資源社会保障部、2020年12月28日)

 

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