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中国で医薬情報担当者(MR)の届出管理が12月1日からスタート

中国市場

2020.11.16

医薬品の普及、情報伝達に重要な役割を果たす医薬情報担当者(以下MRと略す)は中国で「医薬代表」と呼ばれている。医療制度の改革の一環として、MRの管理も重要な課題の1つである。

2017年2月9日、国務院が「医薬品の製造、流通、使用に関する方針の更なる改革と改善に関する意見」を発表し、「MRの管理を強化し、MRの届出制度を確立する」方針を打ち出した。つまり「MRは、学術的な医薬品の普及や技術的な情報伝達などの活動にしか従事できず、医薬品販売の仕事を引き受けてはならない。MRの信頼できない行動は、個人の信用記録として記録される」という案を示した。それを具現化したのがNMPAから2020年9月30日に発出した「医薬情報担当者の届出管理規則(試行)」(2020年12月1日施行、以下「規則」と略す)である。

「規則」の中で、MRは医薬品の営業担当ではないことを強調されている。「医薬情報担当者(MR)は、中国国内の製造販売承認書保有者(MAH)を代表し、医薬情報の伝達およびフィードバックを主な業務とする専門者を指す」と定義した。MRの主な業務は以下のように示されている。

(1)医薬品の普及促進のための企画および計画の作成。

(2)医療従事者に医薬品の情報の提供。

(3)自社医薬品の適正な使用を図るための医療従事者の支援。

(4)医薬品の臨床使用および病院のニーズに関する情報の収集・フィードバック。

 

またMRの活動の範囲や形式も明確に指定されている。

以下の形式で学術およびその他の活動を行うことができる。

(1)医療機関において医療従事者と対面での説明。

(2)学術プロモーションや講演会の開催。

(3)学術資料の提供。

(4)インターネットまたは電話会議を介した通信。

(5)医療機関と合意したその他の形式。

 

「規則」では、MAHはMRの届出と管理に責任を持つことと規定されている。MAHが海外企業である場合、MAHによって指定された国内代理人が対応する責任を果たすものとしている。MAHには、以下の行為が禁止されている。

(1)MRの情報の届出を怠ること、および届出の記録情報を期限内に変更または削除を怠ること。

(2)MRが違法・違反行為をすることを奨励し、暗示すること。

(3)医薬品の販売ノルマをMRに割り当て、支払いの回収、購入および販売請求書の処理などの販売活動を実行するようにMRに要求すること。

(4)MRまたは他の職員に、個々の医師の薬物処方の数を数えるように要求すること。

(5)届出で虚偽の情報を提供すること。

 

そしてMRに対しては、以下の行為を禁止している。

(1)届出せずに学術プロモーションおよびその他の活動。

(2)医療機関の同意なしに学術プロモーション等。

(3)医薬品販売の業務を引き受け、支払いの回収、購入および販売請求書の処理などの販売活動。

(4)個々の医師の薬物処方の数の統計への参加。

(5)医療機関の内部部門および個人への直接寄付、助成金、および後援。

(6)医師が誤った情報を基に薬剤を処方させる、治療効果を誇張または誤解させる、医薬品の既知の副作用情報を隠す、または医師からの副作用情報のフィードバックを隠す。

(7)薬物の臨床的合理的使用を妨害または影響するその他の行動。

 

「MAHは、雇用または認可されたMRの管理責任を厳格に履行するものとし、上記の状況をMRに対して厳しく禁止させる。 上記のような状況にMRがある場合、MAHは速やかに是正し、深刻な状況の場合、学術プロモーション等の活動を停止させ、教育訓練を行い、評価合格後、活動を再開させるものとする。」

MAHは、雇用または認可されたMRの情報を会社のWebサイト或いは第三者ウェブで公開するものとする。MRの届出プラットフォームの設立と維持は、NMPAが中国薬学会※1に委託している。「規則」の実施に向けて、中国薬学会は「医薬情報担当者の届出プラットフォームの使用に関する通知」を出し、MR届出のための具体的な操作ガイドラインを公開した。各製薬会社も届出の準備に入ったようである。

 

MAHは、MRの届出について以下の情報を公表すると規定されている。

(1)MRの届出番号。

(2)MAH名およびその会社コード。

(3)MRの名前、性別、写真。

(4)MRが担当する医薬品の種類と治療分野。

(5)労働契約または授権の開始日と終了日。

 

一般的にMRは、薬剤の適正使用のために薬剤の科学的情報を基に、医師(医療関係者)に情報提供する職業だと認識されている。 しかし、ここ数年、中国のジェネリック医薬品の激しい競争を背景に、一部のMRが学術プロモーションの裏で、現金販売によって医師を喜ばせることは珍しくなかった。MRの役割が歪められ、彼らの行動が誤って解釈されてきたため、MRは業界で軽蔑的な用語と見なされてきた経緯もあった。

「規則」の実施により、MRの役割は見直しされ、新たに認識されると期待される。その際、特許期間を過ぎた古い薬や補助的な役割の「万能薬」※2を担当するMR、そして学術プロモーションの能力がなく、依然として顧客との関係、経済的利益に依存しているMRも減るだろうと推測する。また品質再評価と量的購買によって、MRの数は全体的に大幅に減るのも予測される。

実際に医療機関側も医療従事者の行動の是正にも注力している。国家衛生健康委員会は7月24日、「2020年の医療産業のワークスタイルの構築のための特別なアクションプランの発行に関する通知」を発表し、今年7月から年末まで、製薬会社の違法なマーケティング行動、リベートをとる医療従事者を主なターゲットに是正する方針を明確にした。

量的購買によって、医薬品はもはや病院の利益の中心ではなくなり、院外処方は加速されるだろう。おそらく、MRの販売ノルマが取り消された後、新規患者、病院訪問、面談内容など、MRの評価はより多様化するだろう。そして病院の販売指標が院外に移される可能性もあると推測する。

 

上記MRに対する届出管理は、MRの管理だけではなく、従来の医薬品販売モデルと一線を画す、国際的基準に近づいた政策のように見える。中国への進出を考える日本企業にとって、代理権をどこの中国企業に与えるのか、価格的な側面よりも、商品構成やMR活動のレベル(情報提供と収集能力)が重要なポイントとなり、販売戦略もより計画しやすくなるだろう。

 

 

1.中国薬学会(Chinese  Pharmaceutical  Association)は、1907年発足し、中国の製薬関係者による学術的、非営利的な社会組織であり、2017年まで12万の個人会員、4000 のVIP会員、80の事業者会員を有する。

2. 中国で一部の補助薬は、治療法が多くあり、また病院のいくつかの診療科でも処方でき、度々高い投与量のために、それらの薬を冗談めかして「万能薬」と呼ばれている。

 

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