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中国の保険薬について:(3)保険薬の収載規則が確定

中国市場

2020.11.02

前回は、重大疾病治療薬、革新的医薬品、希少疾病治療薬などの高額な新薬が薬価交渉等によって中国保険薬償還リストに収載される経緯を紹介した。これまでは、これらの新薬の収載プロセスが不透明であると指摘されており、この問題の解決に保険薬償還リストへの収載、償還等の全般的なガイドラインが必要であった。

「基本的な医療保険薬の管理のための暫定規則」(国家医療保障局令 第1号、2020年9月1日施行)(以下「規則」と略す)が制定、施行された。本「規則」では保険償還リストである「国家基本医療保険、労働災害保険、出産保険医薬品目録」(以下、「目録」と略す)への収載条件、「目録」から削除される対象、「目録」の更新、償還基準など基本的なルールが示された。

 

「目録」への収載条件

その基本的な条件としては、①中国の医薬品規制当局によって承認され、医薬品登録証明書を取得済みであること。②臨床的必要性、安全性と有効性、そしてリーズナブルな価格であること。

⇒②の条件から分かるように、医薬品の価格も収載される際の判断材料であり、高額な場合は収載されない可能性がある。

 

「目録」へ収載しない対象

(1)主に栄養補充用の医薬品。

(2)国家の貴重な絶滅危惧野生動植物の成分を含む医薬品。

(3)保健用の医薬品。

(4)予防目的のワクチンおよび避妊薬。

(5)主に性機能の改善、脱毛・ダイエット・美容の目的、禁煙補助、禁酒補助に使用される薬。

(6)他の診断・治療内に含まれ、別途請求しない医薬品。

(7)漢方酒や漢方茶、さまざまな果実由来製剤(特別な状況下の子供用医薬品を除く)および舌下錠と発泡錠 (特別な規定の状況を除く)など。

(8)基本的な医療保険の投薬規制を満たさないその他の薬物。

 

「目録」から削除される対象

専門家のレビュー後、直ちに削除される対象:

(1)医薬品規制当局によって承認書が取り消された医薬品。

(2)関連部門のレビューによりネガティブリストに指定された医薬品。

(3)臨床的価値、副作用、薬の経済性およびその他の要因が包括的に考慮され、リスク・ベネフィットの評価後、利益よりリスクが大きいと見なされる医薬品。

(4)虚偽の申請内容、その他の違法な手段により「目録」に収載された医薬品。

(5)国によって規定されたその他の状況。

⇒特に(3)について、「臨床的価値、副作用、薬の経済性などの要因を包括的に考慮」することは、「専門家」の評価が重要になる。

 

専門家によるレビュー及び別途所定の手順の後に削除される対象:

(1)同じ治療分野では、価格またはコストが明らかに高く、合理的な使用根拠がない医薬品。

(2)臨床的​​価値が不明確で、代替薬がある医薬品。

(3)安全性、有効性、経済性などの条件を満たさないその他の医薬品。

⇒上記(1)~(3)は、これから「目録」が更新される際、一番注目されるところと考えられる。内容だけから判断すると、「補助的な役割を果たす医薬品」や「合理的な臨床使用の目的に照らしてモニターされている主な薬剤」が削除される可能性が高くなると推定する。

 

「目録」の更新及びそのプロセス

「原則として年1回、更新する」と定められている。その手順は、①企業申請、②専門家によるレビュー、③交渉または入札、④結果の発表となる。なお、中薬(生薬及び単味薬材)は、専門家によるレビューのみである。

⇒「目録」の更新プロセスの透明性が向上され、また企業申請から始まる手順となり、企業の主体性に配慮が加えられた。

 

償還の基準

「目録」への収載と医療保険薬の償還基準が連携するメカニズムが確立された。 中薬(生薬及び単味薬材)を除いて、原則として、「目録」に新たに収載される医薬品は、同時に償還基準が決定される。それぞれの基準は以下のように決定される。

  • 独占的医薬品(後発品のない医薬品)は交渉を通じて償還基準が決定される。
  • 非独占的医薬品のうち、量的購買によって選択された医薬品は、量的購買の関連規定に従って償還基準を決定される。
  • その他の非独占的医薬品については、償還基準は入札およびその他の方法に基づいて決定される。
  • 麻薬および第1類の向精神薬は、政府の価格設定に従って支払われる。

⇒基本的に、重大疾病治療薬、革新的医薬品、希少疾病治療薬などの高額な新薬が薬価交渉等を通じて収載される方針は変わらない。また、量的購買の対象も「目録」に収載される方向である。

 

医療保険適用の範囲

(1)疾患の診断または治療を目的とする場合。

(2)診断と治療が病状と一致しており、医薬品の法定適応症と医療保険の限られた支払い範囲に準拠している場合。

(3)救急救助を除き、指定医療機関から提供されている場合。

(4)保険基金によって支払われる医薬品の費用が、医師の処方箋に基づく場合。

(5)所定の手順に従い、薬剤師の認可を受けた場合。

 

そのほか、償還カテゴリー別に、甲類と乙類の2種類をそれぞれ定義した。甲類医薬品とは、臨床治療に必要な薬で広く使用されており、確実な治療効果があり、且つ類似薬の中でも低価格または低治療費の薬である。乙類医薬品は、臨床治療のために選択することができ、明確な治療効果があり、類似薬の中で甲類よりもわずかに高い価格または治療費の薬である。協定期間中、交渉された薬(独占的な医薬品)は乙類医薬品の分類に含まれると規定していた。

原則として、OTCは「目録」に追加されなくなる。OTCはこれから保険基金の給付から外れることを明確にした。

なお、タイトルから分かるように「暫定」的な規則なので、これから運用状況によって改正される可能性もある。保険薬へのアクセス向上、償還の環境整備に向け、実効性の高い策を講じていると思われる。その一方で、医療機関や患者など医療現場の声も反映されるべきであるという指摘もあり、今後、一層多面的な改善が実施されるものと思われる。

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